【今週見たよかったもの】Creepy Nutsのオールナイトニッポン0(2021.11.16放送分)・アッコちゃんは世界一・go!go!vanillas「Life Is Beautiful」横浜公演・M-1グランプリ準々決勝ネタ(滝音)・ドラフトコント2021
(できれば)1週間に1回ぐらい、直近で見たり聞いたりして「よかったな〜」や「おもしろかったな〜」と思ったものを箇条書きでざざっと記録していく雑記です。
先々週時間が取れなかったので2週分、まとめるぞ〜。
- Creepy Nutsのオールナイトニッポン0(2021.11.16放送分)
- アッコちゃんは世界一
- go!go!vanillas Yokohama, Kobe Arena Tour「Life Is Beautiful」横浜アリーナ公演
- M-1グランプリ準々決勝ネタ(滝音)
- ドラフトコント2021
Creepy Nutsのオールナイトニッポン0(2021.11.16放送分)
・13日放送のマツコ会議とそれに伴う反響、批判等に対して、松永さん本人の口から冒頭20分くらいかけて説明(件のマツコ会議の感想はこのポスト)。
・マツコ会議放送2日後にゲスト出演したアトロクでは特に触れてなかったから、自分たちの責任の持てる場で話すと決めていたのだろう。
・本人も「聞いてください」と言っていたし、切り取りたくないから細かくは書かないが。もう一週間以上経ってるから公式に聞く手段はポッドキャストぐらいか……。でもまあ、放送時点で聞こうと思ったくらいの範囲の人に真意がわかればそれでいいのだろうな。
・本当はこんなゴタゴタはないのが一番だけれど、こういうことがあるたびにラジオを持っている人たちは強いなと思う。テレビという「編集されたもの」に対して唯一立ち向かえる放送媒体がラジオだ。
アッコちゃんは世界一
・ツイッターでバズりにバズり散らかしていた漫画。
・主題については賛否両論あるが、ナス(主人公)が妄想で片付けたようなキレ方をガチでやって様々なコミュニティの空気を悪くしてきた実績があるから他人事とは思えなかった。まあ私がキレてきた対象は必ずしも男性ではないし、この漫画の核となる“ツイフェミ的思想”に基づくものではなかったが……。
・読んだ直後は「ナス、私で草」と思ったがナスは脳内で斬ってるだけだからな。ナスのような子は、実際にキレてしまう私のような女を見たらそれはそれで引きそうだ。そんなのってないよ。
・感想を見ていると賛否両論の“否”ポイントは多岐に渡るが、そのうち多くの人が指摘していたのがアッコちゃんの「私の人生は誰が1番にしてくれるんですか…?」というセリフ。他責すな、自分で幸せにせい、と。
・それはそう、それはそうなんだけど……そう思えない土壌を作った育ちがキツかったという話じゃん、みんな冷めてるな〜と思った。
・前回に引き続き、これは本当に「よかったもの」というタイトルで書く内容か?
・でも作品としての良し悪しと別に、「読んだ(見た)ことでいろいろ考えるきっかけになってよかった」という体験があってもいいと思う。
go!go!vanillas Yokohama, Kobe Arena Tour「Life Is Beautiful」横浜アリーナ公演
・2デイズの神戸ワールド記念ホール公演と横アリ公演からなる、3日間のワンマンアリーナツアー。
・バニラズを観るのは去年の同じ時期にやった武道館公演ぶり。ホールやアリーナはあまり行かないけど、バニラズのデカ箱公演にやたらと縁がある。
・ファンクラブ会員の友達が用意してくれたアリーナ席のチケットは良席とは言い難い位置ではあったが、思っていたより見やすかった。横アリって初めて行ったけど(というかアリーナやドーム自体ほとんど行ったことないけど)アリーナ席に傾斜あるんだね。日比谷野音みたいだな。
・バニラズはサービス精神というかホスピタリティ精神がすごくて、声を上げられない上に物理的に舞台から離れた客席でも極力距離を感じないステージングをしてくれる。
・メンバー全員少しずつ違った華があるのが良い。ボーカル以外は徹底的に歌わないバンドもストイックなかっこよさがあるけど、全員が一曲の間に変わるがわるマイクに向かうようなバニラズの“ハッピー感”は唯一無二の魅力だと思う。
・それにしても「デッドマンズチェイス」とかってだいぶ昔の曲だけど、ここ数年のバニラズの道のりを考えると歌詞がバンドの物語に追いついていてすごい。よいクリエイターは時に予言するのである。
M-1グランプリ準々決勝ネタ(滝音)
・もしかして週5フルタイムで働いてM-1の予選動画全部見るのって……無理?
・3回戦もあと1/3くらい見られてないんだけど、準々決勝は再生回数がワイルドカード(敗者復活制度)に結びつくのでできる限り貢献したくて頑張って見た。けど結局全部見られなかった中で一番面白かったのが滝音。
・と思ったら今日ワイルドカードが発表されて見事に滝音だった。ネタ強こそ正義だな。まあそもそも準々落ちてる時点で誤審説はあるが。
・形式はスタンダードな漫才なのにツッコミの一人称が「あたし」、二人称が「あーた(あなた)」なのが妙に刺さる。造語のツッコミ好きなんだよな。
・滝音のさすけさんのツッコミと三四郎の小宮さんのツッコミが好きな感情はほぼ同じ。タイプは当然違うけど。2人とも青いジャケットだし(?)
ドラフトコント2021
・リーダーとなる芸人5人がドラフト形式でメンバーを選出しコントで競うという、完全にオタクが見たかった番組。
・ドリームマッチとかもそうなんだけど、メンバー選出部分だけ配信でもいいので売っていただくことはできませんか?
・この番組はかなり丁寧に編集していたけど、それでも選ばれる側の芸人さんがどこのチームに入りたかったのかとか全部知りたい……。
・なんか最初から最後までずっとよかった。練習期間のドキュメントもコントの尺もちょうど良くて、全組面白かった。何より芸人さんたちが楽しそうなのがいいね。久しぶりに又吉さんのコントが見られたのも嬉しかったな。
・次回、キングオブコメディの今野さんツモってくれませんか?
・無理か……。
・優勝した春日チームも当然よかったけど(水川かたまりさんに脚本賞として副賞をあげるべき)、小峠チームが刺さった。池田さんと嶋佐さん相性抜群だったな。お芝居うまい人が集まった印象。また見たい。
【今週見たよかったもの】Base Ball Bear「TOUR DIARY KEY」中野公演・M-1グランプリ3回戦ネタ(デニス)・マツコ会議(2021.11.13放送分)
(できれば)1週間に1回ぐらい、直近で見たり聞いたりして「よかったな〜」や「おもしろかったな〜」と思ったものを箇条書きでざざっと記録していく雑記です。
Base Ball Bear「TOUR DIARY KEY」中野サンプラザ公演
・10年応援している大好きなバンドの、結成20周年記念日ライブ兼新譜ツアー初日。
・“いろいろあった”けど、続けてくれて本当にありがたい。続けることに意義があると教えてくれたのはベボベ。
・初日につき詳細は書かないが、公式SNSでvalkneeがサプライズ出演したことは発信されていたので言っていいと信じる。音源でも名曲だった「生活PRISM feat.valknee」は生なら余計にかっこよかった。やっぱりロックもヒップホップも生が一番だな。
・アンコールはベボベの初ライブ(高校の文化祭)のサンプリング。当然私は高校生の時のベボベなんか見たことないのに、かつてのベボベを見ているような錯覚さえあった。
・「永遠に好き」とか「死ぬまで応援する」とか簡単に言わないようにしている(大概なんだかんだで離れてしまう時が来るので)が、ベボベだけは、一生聴き続けるんだろうなあという確信がある。音楽が好きな人なら1つくらいそういうアーティストがいると思うけど、私にとってのそれがベボベだ。
M-1グランプリ3回戦ネタ(デニス)
・先週「おそらく来週も3回戦のことばっかりになる」って書いたけど、好きな芸人から優先的に見ちゃったっていうのもあってそれほどでもなかった。全体の1/3くらい見た。
・ネタ自体も面白かったが、マイク吹っ飛ばして迫真の謝罪するところで涙出るくらい笑った。
・ハプニングの笑いって時に練られた面白い台本を瞬間最大風速で上回るから、(特にこういう大会の場では)厄介だし不本意だろうけどそれにしたって面白すぎる。
・あそこでああやって面白く立て直せるっていうのも手腕だよなあ。
マツコ会議(2021.11.13放送分)
・今日の本題。Creepy Nutsゲスト回。
・【今週見たよかったもの】という題で感想を書くのは適切ではないかもしれないが……間違いなく「良さ」もあった。
・私はCreepy Nutsのオールナイトニッポン0のヘビーリスナーである。どれくらいかと言うと、2年前のラジオイベントに現地参加しているくらい。3年以上欠かさず聞いていると思う。
・「日本におけるヒップホップの今後の可能性」と「テレビでポップに消費されていく自分たちの在り方」について語り、涙するDJ松永。その姿を見てマツコも涙する……というレアな回となった。
・ところが、この2つの話題が並行して進んだことによってよくわからないことになったな、というのが私の率直な感想。
・この放送を受けての反応は大きく分けて2つ。まず放送直後は「表現者としての葛藤に感動した」「テレビ崩壊の前段」みたいな、「神回だった」的な感想が目立った。マツコも松永の涙を「絶望と希望が入り混じった涙」だと表現していたし、実際その通りなのだと思う。私は何年も毎週彼らのトークを聴き続けてきたから、彼らがしてきた努力が(もちろんリスナーから観測できる範囲内のみだが)わかるし、素直に感動した。彼らに限らず、もう応援している人に絶望が混じった涙なんか流してほしくない。
・そのあと放送から数時間経ち、炎上状態に。放送で「かつて『フリースタイルダンジョン』でのラップバトルにて、男性ラッパーがミソジニー発言をして炎上した」と松永は話した。「日本ではこれが限界かも」とも。これに関して、「ミソジニー発言はラップバトルならよくあること。これくらいで炎上するなら日本でヒップホップはこれ以上未来がない」的な要旨だと解釈されている感じ。例のくだりは私も放送時ヒヤッとしたところだ。
・私はファンだからかなり彼に好意的に汲み取るが、多くの人がそう解釈したように(要は)「ミソジニー発言くらい受け入れろ」という意味での発言ではなかったように思う。「攻撃的な単語ひとつひとつの切り抜きがいちいち必要以上に炎上状態を生んでしまう。でもこれは日本人の特性的に仕方がないこと(だから限界かも)」ということかな。まあこれも私の自己解釈ですので。真実は松永のみぞ知る。
・だとしてもミソジニーという単語を出してあのバトルを例にしたのは悪手だった。あの言い方では勘違いされても致し方ない。多分、本来はドラッグや大麻なんかを引き合いに出すのがよかったのだろうが、彼なりに天秤にかけて言葉を選んだのかな。
・ファンだから、ミソジニーを肯定してるわけではないって部分は信じたい。まだ。
・で、その後に泣いたのはヒップホップ云々でなく「テレビでポップに消費されていく自分たちの在り方」の方にかかってくるのだと思ったのだが、「ミソジニーが許容されないのが辛くて泣いてる!?グロすぎ」みたいなこと言ってる人が複数人いた。
・さすがにそれはなくないか?
・関係ないけど、「グロい」って言い方流行ってる?「エモい」と同じように、使いやすいけど説明放棄で嫌な表現だと思う。
・ここ数ヶ月のラジオを聞いていて、松永さんの情緒が心配な瞬間が何度もある。この放送も見ていて不安になるテンションの移り変わりだった。それもあって、涙まで悪く言わないでおくれよ、と思った。が、そんな理解までファン以外に求めるのも難しいだろうから閉口。
・何度か見ていて気づいたのだが、一連のくだりのほとんどにテロップがつけられているのに「ミソジニー」の段だけ不自然にテロップが入っていなかった。それこそ切り取りへの配慮なんだろうが、やっぱりスタッフも「これやべーな切り取り炎上になるかも」ってのは感じ取ったんだよね?
・だけど涙が一番センセーショナルだった。炎上リスクを感じ取りながらそこをメインにして組み立てたのだったら、そっちの方がよほどグロいと思う。
・長すぎ。こんなに書くつもりじゃなかった。
・このタイミングで明日のアトロクゲストがCreepy Nuts。ヒリヒリするぜ。
【今週見たよかったもの】爆笑問題カーボーイ(2021.11.2放送分)・M-1グランプリ3回戦ネタ(ナイチンゲールダンス/根菜キャバレー/チューリップフィクサー)
(できれば)1週間に1回ぐらい、直近で見たり聞いたりして「よかったな〜」や「おもしろかったな〜」と思ったものを箇条書きでざざっと記録していく雑記です。
爆笑問題カーボーイ(2021.11.2放送分)
・前提として、爆笑問題太田光は10月31日にTBSで放送された衆院選特番での言動が批判を浴び、いわゆる炎上状態になっていた。
・私は日テレの開票特番を見ていたのでリアルタイムで例の特番は見られず。その後ツイッターで切り抜かれていた“問題部分”の映像をいくつか見た。甘利明に「御愁傷様」と言ったり、二階俊博に「いつまで政治家続けるつもりですか?」と質問していた場面など。
・JUNKは番組問わず余裕がある時に聞いているくらい。カーボーイは久々に聞いた。炎上に釣られて聞いたので完全なる野次馬だ。
・タイトルコール前に40分強を費やして特番の振り返り。笑って話しているしもちろん「謝罪」みたいな雰囲気ではないんだけど、自分の言葉を分析して足りなかった部分は補い、真摯に反省していると思った。これを聞いて「まだふざけてる!ありえない!」と言ってる人全然国語できなそうで心配。
・「大学入学して一ヶ月で学校全員から嫌われたのと同じ」というくだりを聞いて、同じ日芸の後輩として「日芸生ホントに見る目ねえな」という気持ちになる。まあ2人とも中退してるしなあ。
・太田への「御愁傷様」でオチるの美しすぎて芸術だった。伏線漫才?
・反省的な部分は書き起こすとニュアンスが変わってしまうからやめておくけど、爆笑問題両名の関係性が現れているとても素敵なやりとりがあったので、以下にできるだけ正確に書き起こし。
太田「俺は俺なりに、本当全員に真摯に向き合ったつもりです。これだけは、本当に言えます。俺は」
田中「でも誰も信用しないから。そんなん言ってもね」
太田「だけどさ、それはさ、信じてよ。お前は」
田中「いや俺は知ってんだよ!それしか見てないから」
・声から「理解」が伝わってくることってあるんだな。相方って良いものだ。
M-1グランプリ3回戦ネタ
・近年は3回戦のネタを全組見せてくれるので、できる限り全組見るようにしている。
・まだ全体の1/5見れているかな?ぐらい。好きなコンビや気になるコンビを優先的に。ちなみに今年最も応援しているのはラストイヤーのハライチ。
・今週見れた中で特に印象に残ったのがナイチンゲールダンス、根菜キャバレー、チューリップフィクサーの3組だった。
・ネタの詳細書かずに感想だけ書くの難しいな〜。シンプルにいうなら「おもしろかった」に尽きるんだけど。分析したいわけじゃないからね。
ナイチンゲールダンス
・実際に会場に見にいった人たちからの評判が良くて気になっていた。「仕上がりすぎている」「完璧にM-1用」「トップウケ」など。
・おもしろすぎ。ほぼ全部のボケツッコミで笑ってた。こりゃ確かに仕上がってる。
・令和ロマンなんかもそうなんだけど、言葉がインターネット。ドンピシャ。今後これが主流になってくんだろうな〜みたいな感じ。
・しばらくM-1にはエントリーしていなかったみたいだし、「完成した」のだろうな……。決勝で見たい。
・3回見た。M-1の話した友達全員に勧めてる。
根菜キャバレー
・残念ながら3回戦通過してないのだけど、好みだった。私がバンドのオタクだからツボだったというのもある(バンドマンのネタだったので)。
・2人とも声が素敵。
・お笑い好きの友達とかじゃなく、もはやバンド好きの友達に勧めた。あるあるとしてウケていた。
・漫才を見ていて脳内にMy Hair is Badが流れるという不思議体験。
・THE Wで決勝とかないかな、と思いかけて、いやいやM-1でいいでしょ。M-1で見たいなあ。
・根菜キャバレーに限らず女性コンビ落ちすぎだと思う。
チューリップフィクサー
・おもしろい。イロモノ枠扱いもったいない。敗退は残念。
・白桃ピーチよぴぴって「性別が無い」なんだ。
・芸人の顔の話(特に賞レース関連では)積極的にしないようにしてるけど、よぴぴ可愛いしシゲカズさんかっこいい。この2人には言ってもいいでしょ。面白に直結してるまであるし。
・私よりよぴぴの方が余裕で化粧がうまい。
・これで最後なんて言わないで……。
・こういうのを見逃したくなくて3回戦動画全部見てるみたいなところはある。
おそらく来週も3回戦のことばっかりになります。
「死に様よりも生き様を。」魅せてくれ、go!go!vanillas──4/14、東京公演
※旧ブログにて2019年4月16日に投稿していた記事の再掲です。
ベーシスト・長谷川プリティ敬祐が交通事故に遭い、意識が戻らない。そのショッキングなニュースは2018年末に発表された。
その時点で決まっていたフェス出演、年が明けて4月の東名阪ワンマンツアー、もしその全てがキャンセルになっていたとしても、誰も彼らを責めなかったと思う。
しかし、バニラズはそれをしなかった。年末からのフェス出演ではサポートベーシストを迎えてライブを決行。愛に溢れた仲間たちの支えもあり、素晴らしいステージを見せた。プリティの意識が回復したという知らせは、第一報から1週間と少しあとのことであった。
1月後半には本人からのメッセージもあり、依然リハビリは続く状況ながらも3月に入り退院を発表。そんな中での東名阪ツアーである。
バニラズは、メンバー3人でステージに立つことを選択した。
ソールドアウトのZepp Tokyoは超満員である。ファン皆が今日という日──バニラズのワンマンライブを心待ちにしてきたのだ。照明が落ちた瞬間フロアに満ちた歓声が、何よりそれを物語っていた。
今回のツアーは5月に発売されるアルバムを引っさげた"新曲解禁ツアー"である。先行配信を一足先に済ませた『Hey My Bro.』の抜群のコーラスワークでライブはスタート。ジェットセイヤのドラムセットを下手に置いた、3人が横並びになるセッティングが珍しい。サポートを含め、これまでバニラズはベーシストを下手側に配置してきた。
「プリティの音、ちゃんと聞こえてるだろ?」
そう牧達弥が問いかけたとおり、ステージ上に姿はなくともそこにはプリティの音が鳴っている。情感たっぷりの牧のボーカル、演奏できるのが嬉しくてしょうがない!という気持ちが伝わってくる吠えるような栁沢進太郎のギター、ときに破壊的なほど爆音で支えるセイヤのドラム、それら全てを合わせてgo!go!vanillasである。
バニラズの曲というのは、様々な音楽を吸収してきた彼ららしくジャンルレスな──というより、バニラズというジャンル、というのがしっくりくるだろうか。洋楽ルーツが強いのかと思いきや日本の先輩バンドたちの要素も光っているし、カントリー調になったと思えばシティポップの香りを漂わせ、次の瞬間にはロックンロールスターになってしまう。でもそれが"なんでもかんでもやっている"わけではなくて、きちんと"go!go!vanillas然"としているから心地良い。目まぐるしいのに悪酔いしないジェットコースター。そんな印象である。
初披露された『パラノーマルワンダーワールド』『Do You Wanna』を含め、沸かせたフロアにいたのはまさにパーティークルーだ。新譜にも期待しかない。
新曲披露のブロックが終わり暗転すると前方のファンからざわめきが。そして明るくなったステージの上には──上手から、"ベースを提げた"栁沢・"ギターを提げてフロントに立つ"セイヤ・"ドラムセットに鎮座する"牧!演奏するはセイヤ作詞作曲の『Ready Steady go!go!』。慣れないパートでの演奏に多少の「転がり」は感じたものの、そのドタバタ感も込みでまさに「お好きなように/カラダが感じんだって!!!」。サプライズ的な演出でファンを熱狂させながらも、益々プリティが恋しくなったことは言うまでもない。「練習の5割くらい(の出来)」ということなので、名阪でのパワーアップにも期待したい。
『カウンターアクション』イントロで恒例となっている、栁沢によるコール&レスポンスのシメは「プリティ絶対戻って来いよ!」
これが今日一番のフロアからの大絶叫であり、皆の心からの叫びだった。プリティにも届いていただろうか。
特徴的なギターリフから始まるこの曲を聞くと、いつも「バニラズはやっぱりロックバンドだな」と実感するのである。
一際印象に残ったのは年始にシングルとして発売されている『No.999』。先のプリティに関しての発表があってからすぐにリリースされた曲だが、これは間違いなく今のバニラズのアンセムソングになった。こうなること(もちろん、この先に待っているプリティの"復活劇"を含めて)を予期していたかのような詞。良い創作者というのはときに予言するものだ。牧の強みのひとつでもある難しい譜割り、それでいてどこか懐かしい暴れ馬のような曲のパワーも合わせて紛れもなく今後のライブでの見せ場になる一曲。ああ、早く4人で鳴らす完全版を観たい!
そしてこの時代の名前を冠した『平成ペイン』。私たちにとっても、おそらく彼らにとっても、幸せなだけの時代ではなかった。「簡単じゃないよ 戦ばっかだし」。それでもこの曲を演奏しているとき、ライブハウスはいつだって多幸感に溢れている。バニラズはこれからもたくさんの人を踊らせ、照らし、新しい時代を代表するバンドにきっとなる。
「今日はアンコールはやりません……でも、このままハイ終わり、って言うのも寂しいから。今日はここから撮影タイムにします」
そう牧が告げると、歓声ののちフロアはスマートフォンを掲げる手でいっぱいになった。誰もが今日のこの瞬間をカタチにして残そうと思ったのだ。上手側から中央へ、そして最後に下手側に向いたとき、牧が「次、プリティ側!」と声を上げた。そして誰からともなく「ベース持ってこよう!」と写真にプリティのベースを収める提案。プリティの居場所は間違いなくここにある。5月から始まる全国ツアーの後、東京でのライブを行うという。
「そのときはプリティも帰って来させるから、この続きをやろうや!」
その宣言を私は信じたい。年末からのフェスではあえてイントロだけの演奏にとどめてきたキラーチューン『おはようカルチャー』もそろそろ久々に聴きたい。次回の東京公演は、アンコールのその先である。
ベースレスで音源を入れてのライブをすると発表されたとき、一ファンとして私はただ漠然と不安だった。
"生"であることが魅力の、バンドのライブにおいてそれをすることはある意味で武器の威力を下げることと同義である。もちろんそんなことは本人たちが一番わかっているだろう。
それでもワンマンライブにプリティ以外のベーシストを連れてくるということをしなかったのは彼らの確固たる決断の証拠。
気合の入った照明や特効などからも、チーム全体の高い士気が見えてくる公演だった。その心意気が演奏から伝わってきたのだから、結果的にこの選択は大正解だったに違いない。
バンド界隈全体に、悲しいニュースが多い。
バンドは、ライブは、生きている。奇しくもバニラズは今一番"生きている"バンドだ。
タワーレコードとコラボレーションした新しいポスターに書かれたバニラズからのコメントは以下のとおりである。
「バンドという奇跡を信じてやってきた。死に様よりも生き様を。──最新最高であれ。」
散々な目にあったっていい ハーベストと思えば。
しょんぼりしてる 暇なんかねぇ、のである。
私がBase Ball Bear『ポラリス』で泣いた理由
※旧ブログにて2019年1月30日に投稿していた記事の再掲です。
Base Ball Bearが1月30日にリリースした4曲入り(+ライブ音源+ボーナストラック)EP『ポラリス』を聞いたら、泣いた。
というか、4曲目の『ポラリス』で泣いた。
一応、収録曲の感想を簡潔に述べるならば、①『試される』ヘビーなギターリフとそこはかとない懐メロ感が気持ちイイ、②『Flame』暖かいのに泣きメロ且つギターソロがエロい、③『PARK』暴力的なリズム隊(褒めてます)と手札としてのラップの強さ、といったところ。主観バリバリですみません。Flameのギターソロの入りめちゃくちゃエロティックじゃないですか?本来前置きみたいな書き方をするべきじゃない良曲たちなので、書く才能がある人にレコメンドしてほしい。
でもこれは私のブログなので、私の思ったことを書く。音楽的なことはわかりません。ギターも弾けないし、コードとかもあんまりわかりません。ひとつ言えることは、私はめちゃくちゃベボベが好きってこと。
まず、ここまでの3曲は進化した/新しいベボベの音楽という側面が強い(もちろん今まで築いてきた要素の良いところは汲み取っている)。
だけど、④『ポラリス』は鳴り始めの一音から、感覚的に"聞いたことある、ベボベの音"がした。うまく説明できないけど、過去の名盤『C』の時代の雰囲気がある。
あと、関根史織さんの歌うパートが、不思議なメロディだなと思っていたら最終サビで"コーラス(ハモり)がそのままメロディとして使われている"ことに気づいて鳥肌が立った。あそこめっちゃ気持ち悪い。気持ち良くて、気持ち悪い。
その上で、歌詞にやられた。
畳み掛ける言葉遊びみたいな"3"の波の終わり、最後の最後の一文「また掴みたいな 君のハート」にやられた。
自意識過剰でも構わない、この「君」はファンの私たちだと思いたい。
3人体制になってから3年(近く)、私はあんまり良いファンじゃなかった。正直、進む彼らに感情が追いつかなかった時期が丸々2年くらいはある。そしてそこに、罪悪感と少しの負い目のようなものもあった。今になってみれば歩みを止めないことがどれだけ難しくてすごいことなのかわかるが、なぜか勝手に置いていかれた気持ちになっていた。
でも、私(のようなファンたち)のことが、見えてたんだなあ。しかも、ずっと。
悪い意味ではなくて、かつて4人だったベボベは"小出祐介さんが先頭に立っている"バンドだと思っていた(それが良さの一つでもあった)。でも今のベボベは3人が横並びでとてもバランス良く役割を担っている。
"3"への覚悟と追求と、執着といっても差し支えないくらいのものが見える曲だ。3人が均等に歌っている。3人が順番に楽器で魅せている。3というキーワードが心地よく侵略してくる。
いつの時代が好きとか良いとかではなくて、「こっからは、こうします」という気概が、ひりひり伝わってくる。
Base Ball Bearには、3という数字が3つ、最初から並んでいたんだな、とふと思った。そして、泣いた。
ここで締めたらちょっとエモいなと邪な考えもあったんですが、どうしても小出祐介さんに聞きたいことがあるので書くだけ書いてみる。Disc2に収録されている『17才(17th Ver.)』の歌詞カード、ところどころ『十七歳』のほうの原曲と表記揺れがあるのはわざとでしょうか。考察厨なので気になります(どこかの媒体で答えてるとかあったらどなたかこっそり教えてください)。
実写版銀魂に感謝を込めまして
※旧ブログにて2018年8月20日に投稿していた記事の再掲です。今読み返すとうーんと思う部分も多いけれど、そのまま投稿します。
※映画の内容には全く言及していません。
本当は公開日当日に見たかったけれど、3日遅れで見れた。『銀魂2 掟は破るためにこそある』。
私は原作漫画……というよりそれをもとにしたアニメのファンである。出会ったのは小学生の頃、それまで趣味と呼べるものがなかった私が初めて何かに「ハマった」のがアニメ銀魂だった。ちなみにその後は順調にオタクとして育ってしまい、今では烏野高校(漫画『ハイキュー!!』に登場する高校)排球部のジャージを買ってしまったりしている。銀魂コノヤロー。
そんなオタクの私だが、実写版銀魂にはめちゃくちゃ感謝しているのである。私が映画をとっても楽しんだから、とか、吉沢亮くんの顔がカッコよすぎるから、とかそれだけの話ではない。吉沢亮くんの顔はカッコよすぎるけど。
実写版映画って、良くも悪くも原作を知っている人だけの声が目立ちませんか。私は四六時中ツイッターに張り付いているけど、実写版映画に関する話題は原作を知っている人の評価ばかりに見える。それがプラスの評価だとしても、せいぜい原作ファンも満足!みたいな感じ。
銀魂もまあ、実写化発表当初こそオタクがブチ切れて自分の語彙の限りを尽くして「マジ無理」と騒ぎ、そのあと監督が福田雄一さんだと発表された途端に半数以上のオタクが手のひらを返して「これはイケる」みたいなこと言ってた気がする。そう、私は手のひらを返したオタク張本人。
全員とは言わないけれど概ねオタクも大満足で、2017年の実写化映画の興収ランキングでは1位。
実写化ってだけで猛反発を受ける時流を無視してオタクに認められてすごい。これが1作目を見たときの私の感想でした。
でもそれは違った。すごいのは、オタクに認められたってことだけじゃなかった。
2作目の今回も、歌舞伎町の映画館で見た。銀魂の舞台は歌舞伎町なので、ファンとしてなんとなく、そこで見たいという気持ちがあったから。1作目の初回もここで見た(3回見た)。
前日の夜に席を予約した時点で1/3は埋まっていた座席は満員だった。都内のシネコンで隣の席が空いていることなんてほとんどないけれど例に漏れず今回も両隣に人がいる。私は1人で見たけれど、右隣のグループはどう見てもギャルの4人組だった。
私は最悪なオタクなので映画が始まるまでギャルの会話を盗み聞いていた。最近は見た目が多少派手でもアニメ見てるなんてザラだからその類かと思ってたら違った。原作もアニメも見たことなくて、話もあんまり知らないけど、吉沢亮くん目当てで前作を見たらおもしろかったらしい。
すごい、と思った。
ギャルが銀魂おもしろいんだ。
小中学生のとき、こんなにおもしろいふざけた漫画があるんだ!と知って感動したけど、下ネタ多いし(それがいいところだけど)、ちょうど新八の喋り方する女オタクキツイwwwみたいなこと1番言われてる時期だったし、人に勧めるのは、特に女の子に勧めるのはできなかった。
大人気の漫画だったのは確かだけど、それでもやっぱり、オタクが好きな漫画、の括りからは出れない漫画だった。たいした成績のない吹奏楽部や美術部にいる冴えないメガネの女だけが読んで、仲間内だけでウケてた。
ギャルが銀魂で笑ってることが嬉しかった。
で、この4人組の何が良いって笑いどころで声出してめちゃくちゃ笑ってくれるの。もう開始1分から。ギャルの笑い声が起爆剤になってお客さんみんな心置きなく笑えてて、冴えないメガネの女である私もめちゃくちゃ笑いながら、なんだか無性に感動して泣いた。
ついでに、ギャルが1番ウケてたのは佐藤二朗氏の登場シーンでした。わかる。出てくるだけで面白いもんな。
実写版映画ってお金と役者さんのネームバリュー以外に、はっきり言ってしまえば原作サイドとそのファンになんの得があるんだろう、といつも思っていた。
だけど今日ギャルが笑ってたから、実写版銀魂をやってくれてどうもありがとう、って原作オタクの私は思ったのだ。
銀魂っていうおもしろい漫画のおもしろさを知る由もなく生きていくはずだった彼女たちが、中学生の私が銀魂を勧められなかった彼女たちが映画館にいた。これはアニメ映画では成せない。
だからありがとうございます。
銀魂を、実写化してくれてありがとうございます。
すごく笑って、すごく泣いて、すごく感動しました。
あ、あと吉沢亮くんもありがとうございます。沖田総悟くんが同じ時空に存在しているかもしれない……と思う日が来るなんて、中学生の私に言っても御用改めされてしまう。
今日発売された週刊少年ジャンプで、銀魂はあと5回で連載が終わることが発表された。まだ信じてない。銀さんは、神楽ちゃんは、新八は、ずーっとジャンプの中でバカやってる気がする。銀魂が載ってないジャンプを私は知らないから、きっと最終回翌週になってやっと実感するんだろう。
寂しいなあ。ギャルが銀魂見て笑ってたのに、終わるのかあ。
実写化も、こうなったら全エピソードやってくれたらいいのに、と密かに思ってる。
『帰ってきた銀魂』とか、『銀魂Z』とか始まらないかなあ。キツイ女オタクなので、オイイイイイ!また終わる終わる詐欺かアアアアア!ってツッコむ準備できてるよ。
5/25渋谷公演で目撃した、3人のベボベの今について
※旧ブログにて2018年5月31日に投稿していた記事の再掲です。
Base Ball Bear Tour『LIVE IN LIVE』@渋谷CLUB QUATTRO 2018/05/25
ベボベは、スリーピースバンドだ。正確には、スリーピースバンドに「なった」バンドだ。ギタリストの脱退を受けてもなお立ち止まることなく活動を続けてきた彼ら。これまでもフェスなどで何度かサポートなし3人体制でのステージはあったものの、私個人的には初めて観る、3人「だけ」のワンマンライブ。
渋谷クアトロはソールドアウト公演でもわりと余裕があるつくりなのだと思っていたのだけど、どうやらそれは勘違いだったようでそれはもう満員御礼。スタッフが必死に詰めるよう声をかけなければ全員入らないほどにギチギチのフロアに、チケットを余らせている人は1人もいないんじゃないかと思わされる。
もともと単発のコンセプトライブとして行われていた『LIVE IN LIVE』、今回のツアーでは#Tour_LILとかいうお洒落な公式ハッシュタグがあるが、ファンの間でラブライブと呼ばれている時期なんかもあった。何を隠そう当時千葉の片田舎で女子高生をやっていた私は授業終わりに高速バスでこの渋谷クアトロに向かい、1曲目に間に合わず苦い思いをしたりした。
そんなLILの今回のコンセプトが、満を辞しての「3ピースでのワンマンライブ」である。
全部の曲が、新しかった。
そりゃあ4人用に作られた曲を3人で演奏し直しているのだから、当然と言われてしまえばそれまでなのだけど。3人になって間もなかったサポートギターを携えての日比谷野音で、3人で演奏したアンコールは衝撃的すぎて今も覚えている。良いとか悪いとかではなく、視覚的にも音楽的にもとにかく「足らない」感覚があったからだ。ぽっかり空いた上手も、鳴っていたはずのギターの音も。
それが今はどうだろう。ボーカル小出は下手側に、ベース関根は上手側に。そして真ん中にどっしり構えたドラム堀之内がよく見える。このバンドの「ギタリスト」小出が『真夏の条件』のイントロを鳴らした瞬間、「ギター俺!」と叫んだ瞬間、何も「足らなく」なんかないと直感的にわかった。3人仕様のアレンジでひとりひとりの仕事量は増えているはずなのに魅せつける演奏力、薄まるどころかより色濃くなる楽曲の煌めき。
4曲目、『ファンファーレがきこえる』。今この3人が歌う「人に告げず 遠くの町へ逃げたくもなるけれど/守らなきゃいけないものも/締め切りも 契約もある」という詞は重い。頑張れ負けるなと繰り返すような応援歌ではないけれど、まさに「大逆転」の真っ最中の彼らがこれを歌うから刺さるのだ。
7曲目、『kodoku no synthesizer』。8曲目、『ラブ&ポップ』。ここで関根の新武器ことチャップマンスティックが登場。2年も黙って練習し続けたというギターとベースのいいとこ取りのようなこの楽器、演奏中の真剣な表情、尋常じゃない集中からも見た目よりよほど難しい楽器なのだろうと思う。サスペンダーが苦しいと舞台袖にハケた小出(女子としてはサスペンダー姿の小出も拝みたかった気持ちがあってごめん)を待つ間この不思議な楽器について語っていた関根の熱量が凄まじくて、3人になってもなお「新しい」彼らが眩しかった。
9曲目『愛してる』。こんなに小出がコール&レスポンスを促すことが過去あっただろうか。「ギターロックを」「ギターポップを」……「ヒップホップは?」「じゃあシティポップは?」「メタルは?」と煽る小出に「愛してる」と答える私たち。ベボベのファンはジャンルレスに音楽が好きな人が多いなと普段から本当に思っているのだが、それはもちろんこのバンドがコラボや交流してきた膨大で良質な音楽を一緒に浴びてきたからなのだろう。最後には「Base Ball Bearを!」「愛してる!」。脚色抜きで大合唱と表現しても差し支えなかった。「俺も愛してるぜ!」は絶対カッコつけなんかじゃない。私たちと同じくらい、いやそれ以上にベボベを愛してるのはステージの上の3人だ。
11曲目『The Cut』。毎度うますぎて笑ってしまう小出のラップパート、ほとんどギターレス。畳み掛けるリズム隊。近年はグルーヴ感を大事にしていると様々なところで口にしている彼らだが、それを肌で感じたのがこの曲。鳥肌ものだった。素人目から失礼すぎる表現なのだけど、「バンドうま!この人たち、楽器うま!」と思ったし、正直キャパ的にもベボベのファン!みたいな人ばかりが多い客層だったと思うのだが、例えば今日初めてベボベを見た人がここにいたとしたら一瞬で心臓持っていかれるなこれは、とも思ったのだった。
14曲目『ドラマチック』。15曲目『BREEEEZE GIRL』。いわゆる定番曲、代表曲とも言える2曲。それを力強く、美しく、楽しそうに演奏している3人を見るだけで、もう心配など無用なのだ、この人たちは今が1番最高なのだ、この最高は更新されていくのだと実感。「いつの日か 思い出すのだろう/今年の夏のことを」。私はきっとこのライブを一生忘れないし、この先何度もこのライブを思い返す。そしてそんなライブはそう多くない。
アンコールは堀之内渾身の雄叫びから始まるインディーズ時代の名曲『SUNSET-KI・RE・I』と『LOVE MATHEMATICS』。「公式にない恋がしたい」と数学に例えたこの曲だが、3がただの4-1じゃないことを証明してみせたライブの締めくくりに相応しい。
ベボベのワンマンライブには数え切れないほど通っている。それでも、いつだって「最新が最強で、最高」だ。それは新譜リリースのたびに思うことでもある。「おじさんになってから出会うフレッシュさは本当にときめく」と小出が言っていたが、もちろんファンだって同じことを感じている。一緒に歳を取っているなんて言ったらおこがましいかもしれないが、彼らについていけばこれからも私たちはずっとときめきを貰えるのだろう。
終演後SEで『愛はおしゃれじゃない』が流れた。アンコールも終わり場内は明るくなる中、誰もいないステージに向かってフルコーラスの大合唱をする観客。ほとんどの人が台詞のような歌詞まで全て空で歌えるという状況に、幸せな空間に、ライブが終わったあとだというのに涙が出そうになった。3人にも聞こえていただろうか。
考えてみれば、ベボベの曲は「変化」を歌っているものが多い。『changes』「changes さぁ、変わってく 失うものもある/でもいいんです ひとつ頷き、駆け出す」、『逆バタフライ・エフェクト』「まだ あの日あの時ああしてたらって/祈り呪いが尽きなくても/いま、この時こうしてること「も」鳴り響いて」。2周目の青春というキャッチコピーは今のベボベを最も明確に表している。『short hair』から詞を拝借するならば、「変わり続ける君を、変わらず見ていたいよ」と私たちファンは思い続けてゆくのだ。